小文化学会の生活

Soliloquies of Associate Association for Subculture

[筆者]ぽわとりぃぬ

今年はこういうの読みました2023

2023年も終わりです。ゴールデンウィーク明けにコロナが5類になり、いよいよコロナ前の日常を取り戻していこうと思ったら円安で物価がどんどん上がっていく。インフルも大復活を遂げて、一難去ってまた一難という感じ。 ですが、どれだけ世界が変わろうと、…

ナビエ遥か2Tのエロ同人を実際にやってみた-エロマンガのエロいエロくないを分析する④-

ナビエ遥か2Tは唾フェチという点で稀有なエロ漫画家だ。商業では抑えめだが、現時点(2023年夏コミ)までに制作した同人(同人名はヌルネバーランド)ではその全てにおいて唾液プレイないし顔舐め[1]が描かれている。管見の限りではあるが、唾液をここまで…

『完全自殺マニュアル』鶴見済著1993年(太田出版)

これまでの人生自殺したいなんて思ったことのない俺が、周りにいる死にたがりの道化どもより先にマニュアルに目を通したことで、もうやつらのリスカやODのごっこ遊びをみても動じなくなる。これが本書を読む第一のメリットだ。 さて、本書はタイトルそのまま…

『不完全マーブル』のコマ割りについて-エロマンガのエロいエロくないを分析する3.4-

このスピンオフも本記事が最後。きいの現時点での最新単行本『不完全マーブル』の分析でこのシリーズを終わりとする。 親記事にて調査したとおり、きいという作家は単行本を経るにつれ婉曲的な表現が多くなっていった。風景や身体の一部を切り取ってキャラの…

ウィル・アイズナー『コミックス・アンド・シーケンシャルアート』を読む⑤

ウィル・アイズナーがマンガについて論じた『コミックス・アンド・シーケンシャルアート』。その文献紹介も今回で最後となります。 今回扱うのは第7章と第8章。どちらもマンガ表現それ自体を扱うことはなく、第7章は社会におけるマンガの使用について、第8章…

群青ノイズのコマ割りについて―エロマンガのエロいエロくないを分析する3.3ー

「お前、前の記事できいのエロマンガのコマを全部数えたらしいけど本当かよ?」という疑い(本当にそんなこと言う人がいるかどうかは不明)に応えるための作品レビュー。今回は『群青ノイズ』。 『放課後バニラ』のコマ割りについて①ーエロマンガのエロいエ…

ウィル・アイズナー『コミックス・アンド・シーケンシャルアート』を読む④

前回に引き続き、ウィル・アイズナー『コミックス・アンド・シーケンシャルアート(Comics & Sequential Art) 』を読む。今回は5章 "Expressive Anatomy" と6章 "Writing & Sequential Art"だ。 sho-gaku.hatenablog.jp 前回の"Flame"では、コマ割りからシー…

今年はこういうの読みました2022

どんどん1年の過ぎる速度が速くなっています。この調子だと10年ぐらいしたら12ヶ月なんて半日ぐらいで終わってしまいそうです。さて、今年はあいかわらずCOVID-19の影響を受けたり受けなかったりで、落ち着かない1年でした。こんな時、本を読むと日々の暮ら…

『放課後バニラ』のコマ割りについて②ーエロマンガのエロいエロくないを分析する3.2ー

前回の記事はこちら ④群青 ⑤スカートの中の宇宙 ⑥VAMP!! ⑦コンティニュー ⑧「罪と…」 ⑨ソルトペッパーチョコレート おわりに-色んな最多と最少とヌけるヌけないとの接点- ④群青 本単行本から代表作を1作選べといわれたら、私はこれを選ぶ。異論がある人…

『放課後バニラ』のコマ割りについて①ーエロマンガのエロいエロくないを分析する3.1ー

前回の記事できいのコマ割りについて分析した。きいの作品全体を対象に他のエロマンガと比較するというアプローチを採り、きいという作家の語り方の特徴を明らかにしたが、個々の作品についての言及は薄くなってしまった。なので、各作品の分析結果を提示し…

ウィル・アイズナー『コミックス・アンド・シーケンシャルアート』を読む③

はじめに 前回に引き続きウィル・アイズナーの『コミックス・アンド・シーケンシャルアート(Comics & Sequential Art)』を読んでいく。 sho-gaku.hatenablog.jp 3回目となる今回は第4章「FRAME」だ。本章で扱われるのはコマ割りとパースペクティブである。…

きい先生でヌきたい!ーエロマンガのエロいエロくないを分析する③ー

1.はじめに 2.ヌけないエロマンガについての記述 3.兼ねコマ、LLマンガ、補完 4.分析方法 4-1.夏目房之介の「内包と多層」 5.分析結果 5-1.きいと『ギャルトモ♡ハーレム』と快楽天7月号 5-2.カメラ位置は変わっても人称視点は変わらない 5-…

ウィル・アイズナー『コミックス・アンド・シーケンシャルアート』を読む②

はじめに 前回に引き続き、ウィル・アイズナーの『コミックス・アンド・シーケンシャルアート(Comics and Sequential Art)』を読んでいく。 sho-gaku.hatenablog.jp 今回読んでいくのは第3章「TIMING」だ。本章でアイズナーはコミックにおける時間の表現に…

ウィル・アイズナー『コミックス・アンド・シーケンシャルアート』を読む①

はじめに 小文化学会では特に方針を定めず、会員がめいめい好きな事柄について筆を運んでいる。打ち合わせも特にない自由な空間で、だいたいの寄稿者が1度は焦点をあてているジャンル、それがマンガだ。おのずと手が伸びるほど読みなれているが、それゆえに…

家庭料理という徴兵 暮らしに下限は設定できるか?

リュウジの「至高のペペロンチーノ」を筆者が調理している場面。 パスタは熱湯に入れる段階で半分に折った。パスタおよび味付けのコンソメ顆粒にはトップバリュを使用。50円ほどのこの食事を、ヤマザキ春のパン祭りでもらった皿で食べた。 1.はじめに 2.…

今年はこういうの読みました2021

早いもので2021年も終わりです。オリンピック・パラリンピックの開催、一昨年末から続くCOVID-19の世界的な感染拡大。世界で何が起きようと、世界がいかに変わろうと、結局は自分で決断して、生きていくほかありません。判断を他者に投げださないためにも、…

エロマンガレビュー 新堂エル『変身』-その魔力の根源と暴走―

「変わりたいと思う気持ちは、自殺だよね」 西尾維新著『零崎人識の人間関係』より。いーちゃんのセリフ。 いくつかのエロマンガには魔力がある。 名作と呼ばれるそれらは、読者の心に何か残るものを突き刺し、彼らをして友達に勧めさせたり感想をブログや商…

マサツグ様からミヤモトが削除されたのはなぜか

1.はじめに 2.『マサツグ様』の書籍化 2-1.ウェブ版の『マサツグ様』 2-1-1.『マサツグ様』 2-1-2.徹底した俺TUEEEE 2-2.書籍での『マサツグ様』 ①マサツグの過去について ②クラスメイト、ならびにミヤモトの削除について ③ヒロインたちのキャ…

キラーズはいいぞ

キラーズ(The Killers)というバンドは日本じゃあまり知られていない。 その世界的な人気の割に、パッとしない。 現在までに発表した6枚のアルバムすべてがイギリスでチャート1位を獲得。ファーストアルバムの『Hot Fuss』はグラミー賞の五部門にノミネート…

最近話題な地政学の用語集を作ってみた―学説史と用語集ア~セ―

今回のテーマは地政学です。 英語でいうとGeopolitics。 国際情勢のニュースで専門家が「地政学的に~」とか「地政学上のリスクが~」というのを最近耳にしたことがあるかもしれません。 国家や国際関係について地理と政治を併せて考える学問が地政学。 雑誌…

最近話題な地政学の用語集を作ってみた―用語集タ~ロ―

タ行 第一列島線・第二列島線 大西洋憲章 大日本帝国 台湾 チェルノーゼム チェーレン, ルドルフ チベット高原 中国 チョークポイント ドイツ トルコ ナ行 NATO(北大西洋条約機構) 南米 ニクソン訪中 日本 ハ行 ハウスホーファー, カール バランス・オブ・…

グロンギンゲゲルドギガヅンドグベギ

タイトル訳)グロンギのゲゲルとギアツの闘鶏 ※ここではリントの言葉で書くよ。 去年の9月から始まった仮面ライダークウガのYouTube無料配信は、3月の13日をもって終了いたしました。 2000年の放送当時はまだ幼すぎて内容はよくわからず。でもドラゴンフォ…

クジラックスの『ろりとぼくらの』をアッサンブラージュする――エロマンガのエロい・エロくないを分析する②――

『ろりとぼくらの』として誕生する前の『ろりとぼくらの』 久しぶりにエロマンガをテーマに記事を書きたいと思います。 分析対象をクジラックスの『ろりとぼくらの』とした本稿は、エロいエロくないというよりかは、ヒットの分析となりました。なので正確に…

今年はこういうの読みました2020

中国でよう分からん肺炎の症例が確認されたと思ったら、あっという間に世界中へ感染が拡大して振り回された2020年。家にこもって活字を読む機会が多かったのではないでしょうか(読む量が増えたかどうかはさておき)。来年もきっと続くであろう新しい生活様式…

ファクトフルネスと/はフィリピンの妖怪

今回は読書感想文。 課題図書はここ最近話題になった意識高い本『ファクトフルネス』。 すごい金持ちのビル・ゲイツとかバイデンの元上司のオバマが絶賛したとかで話題になって、YouTubeで検索してみればオリラジの敦ちゃんをはじめ内容を要約してくれた動画…

第三十一回文学フリマ東京に参加しました!

予告していたとおり、11月22日に東京流通センター第1展示場で開催された文学フリマ東京に参加しました。ブースに来ていただいた方に、あらためてお礼申しあげます。初参加かつ従来とは違う状況でしたが、とてもいい経験になりました。備忘録も兼ねて、参加を…

虚構の終身雇用の虚構 あるいはなぜ我々は仕事を辞めないのか

サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ~♪ ご存知かの有名な喜劇俳優植木等のサラリーマンどんと節の一節である。1962年の『サラリーマンどんと節気楽な稼業と来たもんだ』という映画で歌われ、当時人気だったらしい。 ナウでヤングなみなさんにはむしろウッ…

「自称アスペ」はテリヤキバーガーか

これはお前の話じゃない。 コミュ障、アスペ、ADHD、発達障害、鬱……あなたはどの病に苦しんでいるだろうか。 いや、この聞き方は正しくない。あなたはどの病を選んだだろうか。 本稿は上記の病気の存在を否定しない。 理解なく甘えと切り捨てたりもしない。 …

ヌける/ヌけないエロマンガへの接近①

こんにちは、ぽわとりぃぬです。エロマンガを研究するうえでつぎの2冊は必読です。永山薫の『エロマンガスタディーズ』と稀見理都の『エロマンガ表現史』。前者をエロマンガの歴史と社会的意義を考えた本と位置付けるなら、後者はエロマンガの技術的価値を考…

アンチ就活アンチ

こんにちは、ぽわとりぃぬです。あなたは就活嫌いですか、好きですか。やりたくないけどやんなきゃいけないからリクスー買ったりインターンシップ行ったりしてますっていう人多いですよね。 何であれ物事にはアンチが存在します。そろそろ就活アンチが元気に…