小文化学会の案内
みなさんはじめまして。小文化学会のブログへようこそ!
小文化学会(以下小学)は2016年9月1日に設立された学生を中心とする、総合思考サークルです。関心領域は会員の自由。あなたの探求するものが、小学の探求するものになります。
「学会」と称していますが、当然ながら実際に学会として運営される団体ではありません。あくまで「ごっこ遊び」のようなものだとお考えください。しかし模倣とはいえ「学会」の体裁を取る以上は真摯に活動していきたいと思っています。
具体的には以下の活動を行う予定です。
・記事の作成と当ブログへの寄稿
・記事をまとめた冊子の作成、配布
・書物・アニメ等を用いた勉強会
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当会へのご連絡は、本ブログの各記事のコメント欄(当記事でも差し支えありません)か、Twitterアカウントのツイートへのリプライ、またはDM、小学のeメールアドレス(shobunkagakkai☆gmail.comの☆を@に変更)にお願いいたします。いきなり入会をする必要はございません。興味、意見を少しでも持っていただいたら、お気軽にご連絡ください。
今年はこういうの読みました2023
2023年も終わりです。ゴールデンウィーク明けにコロナが5類になり、いよいよコロナ前の日常を取り戻していこうと思ったら円安で物価がどんどん上がっていく。インフルも大復活を遂げて、一難去ってまた一難という感じ。
ですが、どれだけ世界が変わろうと、ベッドの周囲半径3メートルは14歳の頃から変わっていないのが個人的なところ。人間、結局のところ自分の毎日が穏やかならそれでいいのよと冷笑してみたところで、それでも少しずつ何かが変わっていく。それが何なのかを振り返るには、読んだ本を振り返るのが一番。そんなわけで、毎年恒例の会員たちが今年読んだ本の紹介です。来年もよいお年を。
ぽわとりぃぬ
西村賢太, 2014, 『一私小説書きの日乗(第1巻)』,角川文庫
続きを読むナビエ遥か2Tのエロ同人を実際にやってみた-エロマンガのエロいエロくないを分析する④-
ナビエ遥か2Tは唾フェチという点で稀有なエロ漫画家だ。商業では抑えめだが、現時点(2023年夏コミ)までに制作した同人(同人名はヌルネバーランド)ではその全てにおいて唾液プレイないし顔舐め[1]が描かれている。管見の限りではあるが、唾液をここまで好んで描くエロ漫画家は、世徒ゆうきがたまに描いてはいるものの、見つからない。そんなナビエ遥か2Tの唾液プレイないし顔舐めを、私は実際に風俗でやってみた。本稿では、その体験をもとに氏のエロマンガを読んでみる。
目次
- 1.ナビエ遥か2Tの作品歴
- 2.私が実際にやった唾液プレイ
- 3.読者の経験は読書体験にどう影響するか
1.ナビエ遥か2Tの作品歴
まずナビエ遥か2Tがどんなエロ漫画を描いてきたかを辿っていこう。氏は現在、商業では主に快楽天で活動している。最新の単行本は『ヌルラバ!』。その名の通り積極的な美少女たちとヌルヌルプレイをしましたという作品が収録されている。ただし、ヌルヌルのもととして唾液が使われることは少なく、ローションが使われることもあれば、美少女からローションぽい汗がでるという設定もあったりする。唾液フェチや顔舐めは、ベロチューや耳舐めの一部くらいの薄い存在感だ。
続きを読む『完全自殺マニュアル』鶴見済著1993年(太田出版)
これまでの人生自殺したいなんて思ったことのない俺が、周りにいる死にたがりの道化どもより先にマニュアルに目を通したことで、もうやつらのリスカやODのごっこ遊びをみても動じなくなる。これが本書を読む第一のメリットだ。
さて、本書はタイトルそのまま、自殺についての方法、注意点等を紹介するものだ。首吊り、薬、飛び降り等メジャーな10種類とその他の方法が、苦痛や手間、致死度といった指標をもとに比較される。読んでみて驚いたのが事例研究の厚さだ。各方法について、成功例と失敗例がたくさんあげられ、なぜ失敗したのか、この死に方はよかったなど著者が批評する。これで死ねないのかとかこんなのでも死ねるのかという発見があり、自殺を実行するうえでの参考になる。ただし、この時の記述の仕方が報告書的ではなく、遺書の言葉や自殺に至る動機なども含めて叙述的に書かれるので、一気に読んでいると気が重くなってくる。
続きを読む『不完全マーブル』のコマ割りについて-エロマンガのエロいエロくないを分析する3.4-
このスピンオフも本記事が最後。きいの現時点での最新単行本『不完全マーブル』の分析でこのシリーズを終わりとする。
親記事にて調査したとおり、きいという作家は単行本を経るにつれ婉曲的な表現が多くなっていった。風景や身体の一部を切り取ってキャラの心情を暗示的に表現する。そういう語り方が得意な作家だ。『不完全マーブル』はそんなきいの現在の最先端なので、全二冊で指摘した特徴ももちろん表れているが、改めて指摘はしない。
①日陰の詩
陰キャの女にいじめられっ子の男が罰ゲームでセクハラ発言したら、なぜか上手くことが進んでセックスができて、付き合えるようになった話。男に都合よく物事が進んでいくので、エロマンガらしい多幸感と万能感を味わいながら読んでいける。
ちなみに射精はゴム射。ヒロインの可愛い挙動を愛でる読みをする作品で、射精の気持ちよさは最優先ではない。
続きを読むウィル・アイズナー『コミックス・アンド・シーケンシャルアート』を読む⑤
ウィル・アイズナーがマンガについて論じた『コミックス・アンド・シーケンシャルアート』。その文献紹介も今回で最後となります。
今回扱うのは第7章と第8章。どちらもマンガ表現それ自体を扱うことはなく、第7章は社会におけるマンガの使用について、第8章は本書のまとめとマンガの未来について論じている。
- 7章 APPLICATION(The Use of Sequential Art)
- インストラクション・コミック
- ストーリーボード
- 8章 TEACHING/LEARNING Sequential Art for Comics IN THE PRINT AND COMPUTER ERA
- コンピュータとコミック
- コンピューターと作家の個性
- アペンディクス
- 10nies
- ぽわとりぃぬ
群青ノイズのコマ割りについて―エロマンガのエロいエロくないを分析する3.3ー
「お前、前の記事できいのエロマンガのコマを全部数えたらしいけど本当かよ?」という疑い(本当にそんなこと言う人がいるかどうかは不明)に応えるための作品レビュー。今回は『群青ノイズ』。
『放課後バニラ』のコマ割りについて①ーエロマンガのエロいエロくないを分析する3.1ー - 小文化学会の生活
『放課後バニラ』のコマ割りについて②ーエロマンガのエロいエロくないを分析する3.2ー - 小文化学会の生活
『放課後バニラ』の作品レビューをした前回、前々回の記事はこちら。
さて、本作は前作『放課後バニラ』に比べてページ数は変わらないものの、コマ数が増加し、密度が濃くなったのが特徴。2冊目の単行本できいがどう進化したのかを本記事では探求していく。
- ①-10
- ②イレギュラー
- ③トイレの小花ちゃん
- ④LOVERS
- ⑤咲クLOVEーさくらー
- ⑥解放区
- ⑦≦ー不等号ー
- ⑧お見舞いエトセトラ
- ⑨つめたい雨、やさしい君
- まとめ
①-10
夏祭りに来た女先生と生徒が森の中でセックスをする話。話はゆっくりと進行していく。時間の流れも順番通りだ。
続きを読むウィル・アイズナー『コミックス・アンド・シーケンシャルアート』を読む④
前回に引き続き、ウィル・アイズナー『コミックス・アンド・シーケンシャルアート(Comics & Sequential Art) 』を読む。今回は5章 "Expressive Anatomy" と6章 "Writing & Sequential Art"だ。
前回の"Flame"では、コマ割りからシーケンシャルアートとしてのコミックの作成手法が検討していた。そこではコマによって操作されるものがアングルと、アングルによって構築される読者の視点、および視点をとおして操作される感覚へ言及されていた。また、コマの概念と単位を拡張し、ページ全体をコマのように捉える「スプラッシュページ」という発想もアイズナーは唱えている。
5章では絵のスキームから絵そのものへと焦点を移し、主に人間の所作をどのように描写するのか、というポイントを論じている。動作のすべてを落としこめないマンガにとって、描く瞬間を選びとる作業は、読書体験をより良質するために必須の工程となる。6章はマンガ作成という行為の実行過程を主題とする。具体的にはストーリーと作画というふたつの役割の関係である。言葉と絵という二大要素が、マンガをつくる際にどのような相互行為を営むのか、アイズナーなりの考えが示されている。
- 5章 Expressive Anatomy
- 人間を描くということ
- 身体
- 代替となる佇まいの選択
- 顔
- 6章 Writing & Sequential Art
- The Writer(原作担当)と The Artist(作画担当)
- 言葉と絵の関係
- アペンディクス
- ぽわとりぃぬ
- 10nies
今年はこういうの読みました2022
どんどん1年の過ぎる速度が速くなっています。この調子だと10年ぐらいしたら12ヶ月なんて半日ぐらいで終わってしまいそうです。さて、今年はあいかわらずCOVID-19の影響を受けたり受けなかったりで、落ち着かない1年でした。こんな時、本を読むと日々の暮らしのなかからは得られない気付きや、暮らしを振り返るよいきっかけになります。そんなわけで、毎年恒例の会員による今年読んだ本の紹介です。来年もよき読書体験を!
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