小文化学会の生活

Soliloquies of Associate Association for Subculture

小文化学会の案内

 みなさんはじめまして。小文化学会のブログへようこそ!

    小文化学会(以下小学)は2016年9月1日に設立された学生を中心とする、総合思考サークルです。関心領域は会員の自由。あなたの探求するものが、小学の探求するものになります。

 「学会」と称していますが、当然ながら実際に学会として運営される団体ではありません。あくまで「ごっこ遊び」のようなものだとお考えください。しかし模倣とはいえ「学会」の体裁を取る以上は真摯に活動していきたいと思っています。

 具体的には以下の活動を行う予定です。

・記事の作成と当ブログへの寄稿

・記事をまとめた冊子の作成、配布

・書物・アニメ等を用いた勉強会

 

 Twitterアカウントはこちらです

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 当会へのご連絡は、本ブログの各記事のコメント欄(当記事でも差し支えありません)か、Twitterアカウントのツイートへのリプライ、またはDM、小学のeメールアドレス(shobunkagakkai☆gmail.comの☆を@に変更)にお願いいたします。いきなり入会をする必要はございません。興味、意見を少しでも持っていただいたら、お気軽にご連絡ください。

 

雑誌『小文化』、2巻目が発行されます!!!

 2016年に設立したカルチャーメディア「小文化学会」。我々が2020年に満を持して創刊し文フリ東京にて配布した冊子『小文化』、その2巻目をこの度発行することとなりました。

 今回は特集原稿と自由原稿の2本立て。35ページとボリュームアップして、もはや雑誌。特集テーマは「ゲーム」。文字通りのゲームにとどまらず、広く文化事象までも扱うものとなりました。自由原稿は各人が興味の赴くまま書き連ねた味わい深いもの。あなたの知的好奇心を満たすのはもちろんのこと、実践的な知識もおまけで身につきます。

 

 以下、記事一覧をご紹介。

 

――――― 特集「ゲーム」 ―――――

序―――自己完結しながらの開放 ぽわとりぃぬ

ボードゲーム」ってよくわからない LEDs

ボードゲームカフェについて雑考 エチゴニア

프리파라 게임の覚書 10nies

マネーゲームで利益を上げるためには誰を信用すればいいのかーTwitterを中心にー つおおつ

無課金プレイヤーとしてのコミュ障 ぽわとりぃぬ

—――――― 自由原稿 —―――――

エロマンガ研究ってなんだ? ぽわとりぃぬ

空の棺を燃やす人々 ―負けヒロインに関する言説への私見―  10nies

岐阜縦断旅行記 エチゴニア

起業家は己の小文化を守れるのか―リモートワーク、学生活用、人件費削減の壁を越えるためにー つおおつ

 

寄稿記事はどれも新作書下ろし。第1巻も併せて、Boothにて11月30日より販売します。

管理者が居ない金融の世界(DeFi)では何が起こるのか ――KimJongMoon備忘録 前編――

 どうも、つおおつです。最近のマイブームは、筋トレです。

 とはいっても、ジムにあるトレーニング器具を使うガチのものではなく、体ひとつあればできる自重筋トレをしています。

 元々自己流でだらだら筋トレをやっていたのですが思った成果が得られず、この本を読んでやっているのですが、明らかに筋トレの効率が上がり、体が少しづつ頑丈になっているのを感じます。(まだ2週目)

 自己流より明らかに筋肉ついてる&器具がいらないから続けやすいということで、早くこの筋トレを始めたら良かったなって思います。

 

 閑話休題。2020年夏ごろから、DeFi(Decentralized Finance)と言われる分散型金融のシステムが発達してきました。DeFiの一般的な銀行や証券会社と比べた特徴として、ブロックチェーン上にお金のやり取りを自動化するスクリプトを埋め込めるため(コントラクトと呼ばれます)、明確な管理者がいないというのが特徴としてあげられます。

 

 そのような分散型金融の世界では、管理者がいない&デジタルデータをブロックチェーン上で交換しあえることを活かし発展途上国の人々がゲームをしながら稼げたりする興味深いサービス(例:Axie Infinity*1)もある一方で、詐欺を規制する者もいないため、耳障りのいいロードマップを大言壮語しトンズラする詐欺もあったりします。

*1:発展途上国の人々は銀行口座が持てない事が多いため、Axie Infinityを銀行口座の代わりに活用する事例もある。

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つながることの難しさ―きい作品を事例に―

 本稿は肉体を媒介に含む関係構築が、かかる行為の連想させる精神的紐帯、つまり恋仲の構築と必ずしも一致しないことの分析をとおして、成年コミックという媒体の特性により可能となる、負けヒロイン描写の複雑性の解明を目的とする。

 筆者は当ブログで負けヒロインが主題の記事を数回、投稿してきた*1*2*3。折にふれて参照するが、それらの分析から産出された知見は1.負けヒロインとは、特定のキャラクターが思いを寄せる相手と相互思慕になるのが失敗したと客観的に判断された時、その判断を下す者が特定のキャラクターを規定する際に用いる範疇である/2.1の定義は、負けヒロインという範疇はキャラクターが望む関係構築の試みの失敗をもって、はじめて用いられることを含意しており、その過程を経ない当概念の使用は基本的に不当である/3.1の定義と2の確認に基づいて、負けヒロインを関心領域とする研究は、事例分析を重ねることで発展するべきである、の3点に要約できる。

 1から3にかけて存在的言明から当為的主張へとグラデーションがかかっており、特に3は賛否が分かれると予想する。ただ、1で設定した定義は「振られた」「好意を寄せる相手に彼女がいた」等の事実で成立し、特定のキャラクターが望んでいた恋仲という関係を得られなかった結果を「失敗した」≒負けたとみなしているので、一定の同意を得られるのではないかと思う*4。当然ながら勝敗は、勝敗がつく事象が終わらなければ下せないので、2の指摘は論理的に考えて妥当だろう*5

 以上の認識にもとづき、筆者は事例研究、すなわち各作品でヒロインはどのように負けるのか、という過程の分析を行ってきた。これまで漫画、ライトノベルを対象としてきたが、今回はやや趣向を変えて成年コミック、いわゆるエロ漫画を題材に分析を進めてみたい。対象の性質上、未成年の閲覧は控えるべきと当方からは述べておく。

目次

  • 1.分析対象
  • 2.作品の内容記述
  • 3.分析――つながっているが、つながっていない
    •  3-1 男性の敗北
    •  3-2 セックスがもたらす離合
    •  3-3 シーケンシャルな生の一断章としての「負け」
  • 4.結論
    •  4-1 つながりを捉える難しさ
    •  4-2 課題と今後にむけたインプリケーション
    •  4-3 結びにかえて

*1:植野直花から学ぶ負けヒロインの生き様(上) - 小文化学会の生活

*2:負けヒロインと出会う方法 - 小文化学会の生活

*3:シュレーディンガーの負けヒロイン――箱へ入れるには負けヒロインが多すぎる! - 小文化学会の生活

*4:失敗と敗北は同義かという点は、より多くの考察を要するが、今回は立ち入らない

*5:ただし、消費者がコンテンツ完結前の時点でごく自然に感じる「このキャラ、負けそうだな」という知覚を否定するものではない。その推測が「Aというキャラは負けヒロインである」という命題を真とする判断につながったり、負けヒロインという範疇を議論の起点としたりすることが不当であると述べている

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マサツグ様からミヤモトが削除されたのはなぜか

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  • 1.はじめに
  • 2.『マサツグ様』の書籍化
    • 2-1.ウェブ版の『マサツグ様』
      • 2-1-1.『マサツグ様』
      • 2-1-2.徹底した俺TUEEEE
    • 2-2.書籍での『マサツグ様』
      • ①マサツグの過去について
      • ②クラスメイト、ならびにミヤモトの削除について
      • ③ヒロインたちのキャラについて
      • 2-2-1.ストーリー
  • 3.分析
    • 3-1.なろう小説の特殊性
    • 3-2.ラノベの形式
  • 4.おわりに
  • 参考文献

 

 

 

1.はじめに

 本記事は、なろう小説『異世界で孤児院を開いたけど、なぜか誰一人巣立とうとしない件』(以下、『マサツグ様』)を題材に、商業アートにおける商品の側面を考えるものである。『マサツグ様』のウェブ版と書籍版とを比較し、それぞれの形式の差異について検討する。

 

 本記事のいう商業アートの形式とは、例えば今から少年ジャンプで連載を始める漫画家がいたとして、彼(彼女)が女の子を主人公とする漫画を描くことはほぼ不可能だろう。

 なぜなら、“少年”ジャンプだから。

 想定される読者が少年である以上、主人公は少年たちが憧れるような青少年であることが要求される。

 さらに、主人公が銀行に就職し散々苦汁をなめさせられ最後はパワハラ上司にすべてを奪われる、そんなストーリーも許されないだろう。

 なぜなら“少年ジャンプ”だから。

 両面宿儺や鬼が実在するようなファンタジー世界を舞台にハラハラドキドキの冒険をして正義は必ず勝つ。そんなまさしく少年がジャンプするようなストーリーが要求される。夜神月の最期は、惨めな敗北でなくてはならなかったのだ[1]

 

 本記事がいう商品の側面とはこういうもので、作品は読者のニーズ・媒体の制約をうけて規定される。そんな言われなくても知っている事実をわざわざ指摘するのは、サブカルチャー評論が作家論・社会背景論に偏りすぎだという私の問題意識による。

 

 続いて分析対象を選定した理由について。

 

 ウェブサイト「小説家になろう」に投稿され人気を獲得した小説は、書籍化する際に大幅修正されることが常である。この大幅修正こそが商品化のプロセスといえる。

 修正前(ウェブ版)と修正後(書籍版)を比較すればなろう小説の商品としての側面を明らかにでき、ひいては他の商業アートにも応用できると、本記事は考える。

 とりわけ『マサツグ様』という作品は、タイトルのとおりミヤモトというキャラ、およびそれに関係する俺TUEEEE描写が削除された。厳密に言うと削除ではないが、とにかく、これはウェブ版の魅力の大半を削る行為だった。

 なぜこの要素が削られそして代わりに何が追加されたのか。

 まずはウェブ版の『マサツグ様』と書籍版の『マサツグ様』について紹介し、先行研究を参考に考察する。紙幅の都合上、「小説家になろう」やなろう系についての説明は省略した。誠にごめんなさい。

 

(※サムネイル画像は、ガンマぷらすのマンガ版『マサツグ様』連載ページより引用)

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としまえん一周忌

 こんにちは。ヱチゴニアです。

 繰り返される緊急事態宣言にもすっかり慣れ親しみ、もはや日常のように感じられる今日この頃。人間は適応する生き物であると実感しますね。1年前の8月31日に、近所の『としまえん』という遊園地が閉園したのですが、それにもすっかりと慣れてしまいました。ちょうど1年、というには少しズレてしまいましたが、今回はとしまえんの一周忌として、閉園後の現在の姿を記録する記事となります。

 

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都市圏人口と動物カフェの分化度合いについて「猫カフェはどれくらいの規模の街から立地するの?」~東北編~

 どうも、つおおつです。

 

 この2ヶ月で一番大きな変化といえば、ZOCのライブに行ってきたことだと思います。ZOCというのは「孤独を孤立させない」という言葉をモットーに活動する6人組のアイドルグループです。

 アイドルグループですが、「炎上上等」というフレーズが歌詞や合いの手に複数回出てくる、なかなかエッジの効いたグループであり、実際メンバーが不倫/薬物疑惑/未成年飲酒・喫煙etc...により定期的に炎上してしばしばメンバーが交代したりしています。(正直な話、アイドルという側面より大槻ケンヂ的な側面の強いグループだと思っております。)  

 高校生の時落ち着いてライブを聞くことができず主催者側に怒られたことのある経験を持つ私つおおつ*1としては、このくらい尖った人達のやるライブの方が安心して参加できる(多少挙動不審でも怒られなさそうな雰囲気があるので)ため、前回記事で出てきた中標津在住の友人にライブに誘われたのをきっかけに、札幌は琴似のペニーレーン24で行われたライブに参加してきました。

 お金を払って参加するライブは人生初めてだったのにも関わらず、結論としてはかなり楽しめました。楽しめすぎてたまたま空いてた広島のチケットも取ってしまい、翌週には札幌から広島まで遊びに行ってしまった次第でございます。ZOCファン(通称:Player)の友達も道内・外を問わず出来て、楽しい推し活をしている今日このごろであります。

 

 閑話休題。前回の記事の続きをやっていこうと思います。今回は東北地方を調査していこうと思います。

sho-gaku.hatenablog.jp

*1:文化祭のライブハウスでリズムに関係なくタンバリンを叩いて怒られた

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シュレーディンガーの負けヒロイン――箱へ入れるには負けヒロインが多すぎる!

 本稿は放射性元素を用意した密室にいる負けヒロインが、元素の崩壊を引金として室内の生命体を死に至らしめる仕掛けが発動した際、生きているのか死んでいるのかを考察する記事……ではない。同時に、生命の徒な科学利用を禁ずる倫理的訓話でも、量子が集合体状態の光子となる際、そこには勝ち量子と負け量子がいて、われわれの社会は原子レベルですでに構築されている可能性を論ずるポストモダン的白昼夢でもないことを、あらかじめ断っておく。

 では何を書きすすめるのかというと、ライトノベル『負けヒロインが多すぎる!』を題材として、負けヒロインとはいかなる存在でありうるのか、その問いへの答えと、答えるための条件についての考察である。シュレーディンガーだけにとんだ猫だましの序文となったが、なんてことはない。ただの読書感想文+αだ。肩の力を抜いて読んでほしい。なお、記事の性質上、本編の内容へ全般的に触れるので、その旨注意されたい。

目次

  • 1.分析対象・分析方法
  • 2.三者三様の負けヒロイン
    • 2.1 八奈見杏奈
    • 2.2 焼塩檸檬
    • 2.3 小鞠知花
  • 3.勝負の要件――観察者としての主人公・温水
  • 4.結語、あるいは観察者になるということ
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キラーズはいいぞ

 

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 キラーズ(The Killersというバンドは日本じゃあまり知られていない。

 その世界的な人気の割に、パッとしない。

 

 現在までに発表した6枚のアルバムすべてがイギリスでチャート1位を獲得。ファーストアルバムの『Hot Fuss』はグラミー賞の五部門にノミネートされ、全世界で700万枚以上の売り上げ。5枚目の『Wonderful Wonderful』では全米チャート一位も獲得してるというのに、日本武道館での来日公演は空席が目立つ有様……。

 

 詳しくは後半で書きますが、この世界とのギャップは単に彼らの音楽が日本人にウケなかったからという話でもないのです。それどころか、そもそも我々日本人は不運なことに彼らの音楽を聞く機会にさえ恵まれなかったといえるのです。

 

 というわけで今回の記事は、キラーズの魅力を伝えるべくオススメの曲をペタペタ貼るものにしようと思います。

 最後に考察めいたことも書きますが、何曲か聞いてキラーズええやんええやんってなった方はそこまで読まずにそのまま聞き続けてくれればと思います。

 

 アイキャッチ画像はUdiscovermusicより引用(2021/8/6閲覧)。

https://www.udiscovermusic.jp/columns/why-the-killers-has-been-not-succeed-in-japan-and-new-album-imploding-the-mirage

 

  • 1.キラーズ
  • 2.スタンダードナンバー
    • 2-1. Mr.Brightside
    • 2-2. Somebody Told Me
    • 2-3. Read My Mind
    • 2-4. Human
    • 2-5. Caution
  • 3.アルバム
    • ①Hot Fuss
    • ②Sam’s town 
    • ③Day&Age
    • ④Battle Born
    • ⑤Wonderful Wonderful
    • ⑥Imploding The Mirage
  • 4.なぜ日本でブレイクしなかったのか
  • 5.おわりに。-キラーズを日本でブレイクさせるには。あるいは、なぜ「キラーズは日本でブレイクしないのか」と問われるのか-
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五次元チェスのもう少し詳しい話

 五次元チェス、あるいは5D Chessというゲームがある。正式には5D Chess With Multiverse Time Travelという名前だ。

 2020年の7月にリリースされたこのゲームは、日本語でもいくつかの紹介記事*1*2*3*4 が書かれ、Twitterでも何度か見かけた記憶があるので、それで知った人も多いのではないだろうか。

 おそらく、ほとんどの人はこのゲームのコンセプトを知って面白いなと思い、しかし、それだけだっただろう。数%の人は購入を検討したかもしれないが、実際に購入したのは私のようなよっぽどの物好きだけに違いない。

 これはいたって自然な流れであり、ネットではよくある話だ。しかし、実際に購入して遊んでみた結論として、このままで終わらせるのは少しもったいないなと私は思った。だから今この記事を書いている。要するに、この記事の目的は、もう少し詳細に五次元チェスを紹介することである。

 

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