小文化学会の生活

Soliloquies of Associate Association for Subculture

都市圏人口と動物カフェの分化度合いについて「猫カフェはどれくらいの規模の街から立地するの?」~東北編~

 どうも、つおおつです。

 

 この2ヶ月で一番大きな変化といえば、ZOCのライブに行ってきたことだと思います。ZOCというのは「孤独を孤立させない」という言葉をモットーに活動する6人組のアイドルグループです。

 アイドルグループですが、「炎上上等」というフレーズが歌詞や合いの手に複数回出てくる、なかなかエッジの効いたグループであり、実際メンバーが不倫/薬物疑惑/未成年飲酒・喫煙etc...により定期的に炎上してしばしばメンバーが交代したりしています。(正直な話、アイドルという側面より大槻ケンヂ的な側面の強いグループだと思っております。)  

 高校生の時落ち着いてライブを聞くことができず主催者側に怒られたことのある経験を持つ私つおおつ*1としては、このくらい尖った人達のやるライブの方が安心して参加できる(多少挙動不審でも怒られなさそうな雰囲気があるので)ため、前回記事で出てきた中標津在住の友人にライブに誘われたのをきっかけに、札幌は琴似のペニーレーン24で行われたライブに参加してきました。

 お金を払って参加するライブは人生初めてだったのにも関わらず、結論としてはかなり楽しめました。楽しめすぎてたまたま空いてた広島のチケットも取ってしまい、翌週には札幌から広島まで遊びに行ってしまった次第でございます。ZOCファン(通称:Player)の友達も道内・外を問わず出来て、楽しい推し活をしている今日このごろであります。

 

 閑話休題。前回の記事の続きをやっていこうと思います。今回は東北地方を調査していこうと思います。

sho-gaku.hatenablog.jp

 

 調査目的及び手法は前回の記事と同一のため、そちらを参考にして下されば幸いです。それでは始めます。

 下記スプレッドシートが今回の調査結果を記したものになります。

docs.google.com

 

 東北に動物カフェは68店舗存在した。猫カフェが27店舗、犬を専門に扱うドッグカフェが24店舗、ふくろうカフェが2店舗、うさぎが2店舗、小鳥が1店舗、様々な動物を扱う複合型店舗が12店舗存在した。

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東北地方の動物カフェの内訳

  68店舗中18店舗が仙台都市圏(都市圏人口1,612,499人)に存在していた。これは東北地方の人口が8,982,807人*2であることを踏まえると、東北の人口が仙台都市圏に集中している度合い(約18.0%)よりも、仙台都市圏に動物カフェが集中している度合い(26.5%)の方が強いことを表している。

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人口集積度合いと動物カフェ集積度合いの比較

 以下は仙台都市圏以外の都市圏人口30万以上の都市圏の比較グラフである。

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都市圏人口30万以上の都市圏の比較グラフ

 山形市が都市圏人口に比して動物カフェが少ないのは特筆すべきである。山形市にはカフェ機能を持たずに動物と触れ合えるサロンが1店舗*3存在しているが、それを加味しても郡山市(5店舗)、盛岡市(4店舗)、福島市(5店舗)に比べて少ない。これは仙台都市圏へのアクセスの良さが一因と思われる。仙台山形間はバスが平日に1日80往復の往来があり、料金は片道1000円、所要時間は1時間8分である。これは次に仙台都市圏に近い県庁所在地である仙台福島間のバスが18往復,片道1300円,所要時間1時間10分であることを考えると圧倒的に良く、このようなアクセスの良さが山形市における動物カフェの需要が仙台都市圏に取られ、山形市における動物カフェの少なさに影響している可能性が高いと思われる。

 一方で秋田市が都市圏人口に比して動物カフェが多い(8店舗)のも特筆すべきであり、こちらは山形市とは逆で、秋田市が他の都市圏から遠く、需要を他の都市圏に取られることがないからである可能性が高い*4。また、秋田県の動物カフェは秋田市以外には内陸で岩手県との県境に近い鹿角市に1店舗あるのみで、秋田県の動物カフェの需要を秋田市でほとんど満たせているのも大きいと思われる。

 山形市秋田市の結果及び仙台都市圏に人口集積より動物カフェの集積が激しいことを踏まえると、動物カフェの立地を考える上では、都市雇用圏人口よりもより広範囲な都市圏を設定した方が良い可能性が高く、それがどのような都市圏であるかは今後の検討材料にしたい。

 

 また青森県の動物カフェの構成は独自の様相を呈しており、青森県にある動物カフェ全店舗(13店舗)のうち8店舗が猫カフェであり、これは青森県以外の東北・北海道の122店舗のうち42店舗が猫カフェであることを踏まえると明らかに多いと言えるだろう。筆者はこの理由としてカフェの集客手段として猫を採用する手法が青森県内で水平伝播したからではないかと考えているが、決定的な理由は見つけられていない。

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青森県における猫カフェの割合とそれ以外の北海道・東北地方の割合の比較

 また、小文化学会の会員である10nies氏から、前回の北海道地方の記事に対して、動物カフェの成立及びどの動物を選択するかは経営者の意思によるものが大きく、定性的な要因についても考察する必要があるのではないかという指摘を頂いた。

 前回では小清水町に、今回は住田町、小坂町十和田市で都市圏人口10万人未満の都市への動物カフェの立地がみられた。同程度の人口規模の都市に動物カフェが立地していることはまれであり、まさにこの定性的な要因が影響した結果だと思われる。

 動物カフェの立地については今述べた経営者の選好(どの街/動物でやりたいか)による定性的要因と、経営上の判断(ペイするか)による定量的要因があると考えられる。

 今後日本全国でデータを集積していくにつれて、各種動物カフェにおいて、定性的要因がない場合(言い換えると、純粋な儲け目的で立地する場合)でも立地するのに必要な都市圏人口の下限値が判明していくと思われるので、今後の各地方の調査に期待したい。

*1:文化祭のライブハウスでリズムに関係なくタンバリンを叩いて怒られた

*2:2015年国勢調査より

*3:本格的ねこ倶楽部ねこコレ

*4:秋田市から一番アクセスの良い他の都市圏は盛岡市であるが、秋田駅から盛岡駅には高速バスは存在せず、新幹線でしか往来することができない。新幹線は平日に1日16往復、料金は4500円、所要時間は1時間35分ほどである