小文化学会の生活

Soliloquies of Associate Association for Subculture

都市圏人口と動物カフェの分化度合いについて「猫カフェはどれくらいの規模の街から立地するの?」~北海道編~

 どうも、つおおつです。小文化学会では現状4人(つおおつ、ぽわとりぃぬ、エチゴニア、10nies)で隔週で輪番で記事を書いており、だいたい2ヶ月に一度記事を書く番が回ってくるのですが、前回の記事を書いてからのこの2ヶ月は濃厚な時間を過ごすことができて、濃厚すぎて何をしたかもロクに思い出せないここ最近という感じです。

 

 閑話休題。今回は都市圏人口と動物カフェの分化度合いについて分析して行こうと思います。この疑問をもったのは今年の2月。私は中標津*1にいる友人を訪ねていたのですが、その時に行き先として猫カフェに行きたいということを私が言ったら、こう返されました。

 

中標津にはないんですが、釧路に小動物カフェがあります……

 

  私はその時、とても興味深いものを感じました。「犬カフェ」や「猫カフェ」という存在は知っていたものの、「小動物カフェ」という概念を知らなかったからです。「小動物カフェ」ということはファン同士が中々相容れない存在であろう「犬カフェ」と「猫カフェ」が未分化であり、大変興味深く感じました。そして直感的に、これが未分化であるのは「小動物カフェ」が立地している都市の規模が「犬カフェ」「猫カフェ」がそれぞれ単体では存在し得ない都市の規模であるからだと思いました。逆に言えば、都市圏人口が何人を越えるとその都市の動物カフェが「猫カフェ」「犬カフェ」に分化していくのか……?

 一方で都会に行くと「うさぎカフェ」や「ふくろうカフェ」などもあったりします。果たして、「うさぎカフェ」や「ふくろうカフェ」が立地するのに必要な都市圏人口はいくらなのか……?これらの疑問をもとに、本稿を進めていきたいと思います。筆者の時間的リソースの都合上、地域ごとに複数回に分けての連載となります。ゆっくりと明らかにできたら幸いです。

 

1.調査目的

1.小動物カフェが2種類以上の動物を単独で扱うカフェに分化するのに必要な都市圏人口の閾値を明らかにするため(大まかでも)

2.それぞれの動物に特化したカフェが立地するのに必要な都市圏人口の閾値を、動物の種類ごとに明らかにするため

 

2.調査方法

googleマップ上にで「動物 カフェ」と検索して出てくるカフェのうち、動物と室内で一緒にいながら飲食ができる場所を動物カフェと定義する(逆に言えば、野外で牛などを観察できるタイプのカフェは動物カフェと定義しない)

・動物カフェのジャンル分けはマチコネ!の動物カフェ一覧ページのカテゴリに準拠する。

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図1 動物カフェのカテゴリ一覧

 

3.調査結果

 動物カフェの分化度合いについて、スプレッドシートを作成した。

docs.google.com

 都市圏の定義及び都市圏人口には2015年国勢調査に基づいた都市雇用圏を採用した。

www.csis.u-tokyo.ac.jp

 北海道に上記定義に当てはまる動物カフェは67店舗存在した。内犬を専門に取り扱うドッグカフェが32店舗、猫カフェが23店舗、うさぎカフェが3店舗、アクアリウムカフェが1店舗、ふくろうカフェが1店舗、複数の動物を扱う複合型のカフェが7店舗みられた。

 67店舗中36店舗が札幌・小樽都市圏(都市圏人口2,362,914人)に集中していた。2015年時点で北海道の人口の41%が札樽都市圏に集中していたが、それよりも集中度合いが激しかった。動物カフェは都市に立地する傾向が強いといえる。

 動物カフェは複数の動物を扱う複合型と特定の動物に特化した専門型に分かれ、都市規模の小さな段階から最初に立地するのは複合型*2であり、一方専門型の場合都市規模の小さい順に犬、猫、うさぎ、ふくろうの順に分化することが分かった。

 猫カフェが立地したのは帯広都市圏(都市圏人口263,344人)以上の規模の都市圏であり、また室蘭(都市圏人口189,696)では猫カフェが閉店し復活に向けたクラウドファウンディングが行われていること*3を考えると、猫カフェに必要な都市圏人口はおよそ19万から26万の間になると思われる。一方で網走市から車で40分程の小清水町猫カフェが立地しており、この例外的事項をどう扱うかについても考察を深める必要がある。

 うさぎカフェが存在したのは札幌・小樽都市圏と帯広都市圏のみであり、帯広都市圏よりも大規模な都市圏である旭川都市圏(388,701人)及び函館都市圏(都市圏人口340,489人)にはうさぎカフェは立地していなかった。これについて、帯広都市圏にうさぎカフェが存在するのは都市規模を考えると難しい(赤字のため間もなく閉店可能性がある)のか、2都市圏では立地不可能であるが帯広都市圏の特性により立地が可能となっているのか、旭川・函館都市圏においてもうさぎカフェは立地できるが2都市圏にてうさぎカフェが開業されていない状態なのか、考察を深める必要がある。

 特定の種類の動物のみのカフェは、犬・猫・うさぎ・ふくろう・アクアリウムの5種類で、2種類を扱うカフェのモモンガ・ハリネズミを入れても、特定の種類に特化した動物カフェは7種類しかなく、マチコネにあげられた26種類に比べ半分も満たないことが分かった。

 

4.おわりに

 今回は筆者の時間的リソースの不足によって、都市圏人口何人につき1つ、特定の動物を扱うカフェが立地するのか、また動物カフェの分化度合いや立地条件を測る上で都市圏人口よりも正確な指標を明らかにすることはできなかった。そして北海道以外の地域にも動物カフェは存在しており、他の地域も調べることで考察がより正確になることを鑑みると、他地域の動物カフェの立地状況を明らかにすることも今後の課題である。

 

*1:北海道の道東地区にある、人口3万人弱の町。

*2:複合型が立地している中で一番小規模な都市は北見都市圏(都市圏人口126,326人)である

*3:

【室蘭市】猫カフェのニャンコリズム室蘭店。現在、再建を目指し支援を募っているようです。 | 号外NET 苫小牧市(胆振支庁)