小文化学会の生活

Soliloquies of Associate Association for Subculture

今年はこういうの読みました2019

 ここ最近活動していないので、小文化学会は冬枯れた野原のように息の根が止まってしまったと思ったそこのアナタ! ぶっちゃけ否めません。とはいえ〆るところはきちんと〆ます。来年がんばるために、せめて今年の足跡を留めておきたい。毎年恒例の「今年はこういうの読みました」を書いて、本年の活動はおしまいです。来年は読んでくださった方にとっても、我々小文化学会にとっても実りある1年にできるよう努力していきましょう。

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コミュ障はハゲか妖術か

 こんにちは、ぽわとりぃぬです。このインパクト重視なタイトルを言い換えるとこうなります。コミュ障は社会的に構築された病(ハゲ)か、それとも集団幻想(妖術)か。コミュ障という得体の知れないレッテルについて、ハゲと妖術に関する人類学的知識を参考に考えていこうと思います。

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カルチャーと社会のスムーズな接続 ―AVにおける「文系女子ブーム」から「草食系男子」へ―

 こんにちは、ぽわとりぃぬです。みなさんAVは好きですか。私は好きです。おおっぴらに言うのは憚られるものの、男子はみんな(最近では女子も少なからず)好きだと思います。今回はそんなAVのブームを題材に、カルチャーと社会の関係について考察していきます。夜中こっそり見るのが当たり前のAV。だからこそ、私たちの姿をグロテスクなまでに反映するのです。

 テーマは「文系女子ブーム」です。2019年9月号のソフト・オン・デマンドDVDに「このところ、にわかにリリースが増えている『文系女子』作品(p51)」とあるように、現在日本のAV界においては、文系女子がブームなのです。この「文系女子ブーム」の背景にいかなる要因があるのかについて考えていきます。

 こういう類の考察は巷にあふれています。個人的には、多くがカルチャーと(その要因とされる)社会背景とをあまりに直接つなげていると考えます。そこで今回私は、これらの考察が抱える問題点を乗り越えるべく、ブームと社会との間に「業界」という中間項を置いて考えていこうと思います。

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路上でクルージング@中村遊郭跡

 先日の「路上でクルージング@中村遊郭跡」はお天気にも恵まれ、無事に開催できました。来てくださったみなさん、ありがとうございました。今回はその報告をしたいと思います。

 集合した中村日赤駅から、最初に向かったのは素戔嗚神社。駅にいちばん近い遊郭の角になります。この神社、昭和8(1933)年に当地へ移されたのですが、境内でみられる灯篭や鳥居には遊郭とその経営者と思わしき人々の名前が刻まれています。年月日は大正12(1923)年が多く、遊郭大須から移転される際に関係者各位が商売の成功を祈願したことが窺えます。なかでも遊郭ならではのユニークな字面が、石灯籠で見受けられました。

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家内安全ではなく廊内安全

 さて、ここで今回のフィールドワークの無事を願い、境内を出るとさっそく旅路となる「水路」がみえます。

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活動報告 エロマンガ読書会

 皆さん、春ですね。ぽわとりぃぬです。新入生、新学年、新入社員といった新たな環境をよろめきながらも歩き始めた頃かと思います。あらゆる繋がりがリセット/更新されるこの時期、何か新しい楽しさはないかとネットをポチポチしてみたりもするでしょう。

 そうしてうっかり当学会に辿り着いてしまったあなたに、本稿では、小学が開催したエロマンガ読書会の活動報告をしたいと思います。我々は去年の夏から秋にかけて、勇敢にも旧帝大エロマンガを持ち込み、計3回読書会を行いました。結果的には女性も参加してくれ、また新たに会員となってくれた方もいました。

 小文化学会はこのようにメンバーの探求心に寛容です。というより、あなたの自由な探求が小文化学会を作るといえます。本稿をとおして小文化学会の雰囲気を感じていただければと思います。

 

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男性向け成人コミックにおける「コンドームの銘柄を記載する描写」に関する一考察 ーじょろり『大好き。』を例としてー

どうも。つおおつです。

最近は青春18きっぷを使って、日帰り温泉に行くのにハマってます。

[公式]かつらぎ温泉 八風の湯(はっぷうのゆ) 和歌山県伊都郡の天然温泉

ここは館内もキレイで、休憩所も広くておまけに漫画もあって駅から近く、温泉もいろんな種類があって楽しめたので良かったです。

大阪駅から2時間という遠からず近からずな距離もちょうどいいですね。

閑話休題

今回は、男性向け成人コミックにおける「コンドームの銘柄を記載する描写」について考察してみようと思います。

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新歓のお知らせ

 多くの大学では春学期の講義が開始したころだと思います。いかがお過ごしでしょうか。私は残された長期休みのひとかけらを心惜しく過ごしております。

 春学期の講義が始まったということは、多くのサークルで勧誘活動も始まったということを意味します。きっと夕飯やその他オリエンテーションで、新たなメンバー獲得に精を出しているはずです。いやはや、青春ですな……

 などと爺くさい静観を決めている場合ではありません。何を隠そう小文化学会、今年の9月で丸3年を迎えるのに、これまでほとんど新たな会員の方に入っていただけていないのです。胡散臭い神様の教えや販売ノルマがある洗剤の類を押しつけていないのに。これは由々しき事態と言わざるをえないでしょう。

 去年も似たようなことを思い、3回ほどどなたでも参加可能な読書会などを開きました。結果、何人かの方に加わっていただき、それ自体はとても楽しかったです。しかし、新年度早々の記事(http://sho-gaku.hatenablog.jp/entry/2019/04/01/120000)にも書いたとおり、小文化学会という誰もが使える「公共財」は、今のところ活動を継続するための投資者がまったく足りていません。

 手前味噌になってしまいますが、あえて活動の範囲をあいまいにして、あらゆる小文化の愛好家が交流できるプラットフォームになる可能性を秘めた当会が、このまま両手で数えられる程度の人間の記憶に残るだけで終わってしまうのは、なんとも忍びないです。新入生にしろ、上級生にしろ学内の部活、サークルや諸々のクラスで関係を構築して、それで別にいいだろなんて思っているのかもしれない。確かにそれでも不足なんてない。ただ、ちょっと突っこんだ言いかたをすれば、それだけで消耗するのはやめようぜ? と申しあげたいのです。

 もうひとつ。試食コーナーで一口大の食品をつまむような情報の享受でいいのか? ってことも。書は捨てなくてもいいので、街に出ましょう。他人の画像や感想で知った気になった世界なんて、リトルワールドが本物に見えるぐらいちゃちですから。

 偉そうな前口上を並べるだけ並べて、ようやく本題に入ります。小文化学会に入会してください。あなたが常日頃、興味関心を抱いているけれど、身近にいる人とは話しにくいな……と思っていることを、ぜひ当ブログや当会会員と共有しませんか。

 もちろん、単にハム無線で闇雲にモールス信号を打つように勧誘してもしかたがないので、とりあえず一緒にフィールドワークをしてみましょう。小学でいままで行ったフィールドワークといえば、暗渠をめぐるクルージングです。今回は、ぜひ皆さんとクルージングをしたいと考えています。

 舞台は名古屋市中村区。中村区で暗渠、というとピンときた方もいると思います。そう、中村遊郭跡地です。現在でもかつての廓建築が残り、また現役の花街でもある遊郭跡地。その街区はあの吉原遊郭を真似ています。記事として掲載した八王子の田町遊郭もその一例でしたが、中村遊郭は規模が段違いです。ちゃんと正方形の堀も整備されていました。遊郭跡というと、豪華絢爛な外装に目がいきがちですが、堀跡の暗渠を辿るのが、旅の主題です。

 実は昨年の春、会員たちと1回歩きましたが、その時はいまいち辿りきれなかったので、今回はそのリベンジを、皆さんのお力添えを共にして実行したい所存です。一緒に自分の脚というオールを使って、探検の航路を進んでみましょう。

 日程は4月27日(土)

 集合場所は市営地下鉄東山線中村日赤駅出入口2

      午前10時半集合です。

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 史上最長のGW。スタートダッシュは小学の新歓で決まりだ!

 

路上でクルージング@八王子 番外編

  前回に引きつづき、八王子でのフィールドワークについて報告していきます。鋸屋根工場、そして関連する建築物について。見覚えはあるけど、なんだかよく分からないランドスケープの一要素が、これで少しは親しみを持てるようになったら幸いです。

 かつて八王子は、長らく桑都と呼ばれていました。桑を何に使ったのか、というと蚕の餌です。とにかく蚕の幼虫は、蛹化するまでの脱皮する以外の時間を、ひねもす桑の葉を食べるのに費やします。「蚕食」という言葉の語源なだけありますね。とはいえ、蚕の世話、製糸の過程はそのほとんどが屋内なので、第一印象は「めちゃくちゃ桑生えているなぁ」だったんだと思います。桑都と呼ばれるのも納得。

 回りくどくなってしまいましたが、鋸屋根工場は製糸工場の代表的な建築様式だったのです。画像検索してもらえると、ああこれね、と納得していただけるはず。画像検索するのが面倒という方のために、以下に何枚か載せます。

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路上でクルージング@八王子

 年度末、皆様いかがお過ごしですか。大学に合格して、これからの学生生活に不安を抱きながらも期待する方もいれば、怠惰な生活を後悔して心機一転、新しい活動に参加してみたいとはりきる方もいると思います。勉強、バイトに恋愛と何に注力するかは人それぞれですが、サークル活動はよく挙がる具体例のひとつでしょう。やりたい活動を細かく定めているなら、選ぶサークルもすんなり決まるかもしれません。ただ、なかには「興味あることを、共有しつつ発信したいなあ」とぼんやり考えている人が少ないないのではないかと思います。

 ありそうで、そういうサークルは意外とありません(まさしく小学が創設された理由です)。小学は個々人の興味分野のプラットフォームとして、他団体にないような包括性を有すると自負していますが、認知度やどういった活動をしているか、いまいち分かりにくいというのも自認しているところです。というわけで、3月から4月にかけて2018年の活動報告をしたいと思います。遅れたことのていのよい言い訳では、けっしてありません。

 今回の散策の舞台は八王子。のんびりとした、でもちょっと鼻がむずがゆくなるような春の3月上旬に実施しました。ちょうど1年ぐらいまえですか。光陰矢の如しという言葉が身に沁みます。

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中華街「西成」

 ぽわとりぃぬです。今回は、大阪にある「西成」の話をしようかと思います。「西成」という言葉からみなさんはどんなイメージを思い描くでしょうか。多くは「怖い」や「ホームレス」でしょう。「西成」は東京の山谷、横浜の寿と並んで日本三大ドヤ街の1つとして数えられ、かつ日本最大のドヤ街です(文献によっては名古屋の笹島も含まれ、日本4大ドヤ街ともいわれます)。ドヤ街とは簡易宿泊所のこと。1泊1000円前後、安いところで500円です。主な利用者は日雇い労働者のおっちゃんたちです。

 つまり「西成」は、超端的にいってしまえば日雇い労働者の街であり、貧しい街です。そんなわけで「西成」には怖い、汚い、危ないといったイメージが付きまとっているわけです。そしてそれに沿うようにしてメディアで描かれています。あべのハルカスの隣、飛田新地のすぐそば、通天閣から歩いて行ける距離に「日本の最貧困地域」はあるのです。こうした側面も確かに現実ですが、しかしながら、「西成」は今、急速に変化していっているのです。かつて「ホームレスの街」だの、「日本の最底辺」だの言われたこの街がどう変貌して、どう変貌しうるのか。その1つの答えが「中華街」です。

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