小文化学会の生活

Soliloquies of Associate Association for Subculture

ボードゲームの要素分析 (前編)

 お久しぶりです。エチゴニアです。

 最近はボードゲーム史の沼にはまっていて記事を書くのがおろそかになっていました。
 さて今回の記事では、ボードゲームをざっくりといくつかの要素に分解し、それぞれの要素の持つ特徴について分析しようと思います。遊ぶための条件にも深く関わってくるので、新しくボードゲームを買うときにも役に立つ、かもしれません。

 

 え? ボードゲームの製作について?

 まあ、要素の分析も製作の前段階として必要なことです()

 

 

ボードゲームを選ぶときに見るべきポイント

  ボードゲームアナログゲーム / テーブルゲーム / 非電源系ゲーム とも)の要素といっても、色々な分解の仕方がありますが、ここではまず購入するときに注意したいポイントから解説していきます。 

 デパートなどのゲーム売場で面白そうなボードゲームを見つけたとします。「面白そう」という感覚は最も大切ですが、だからといって買うべきなのかどうか、その判断基準をほとんどの人は持ち合わせていないでしょう。そんなときに役立つ消去法的な判断基準があります。

 ボードゲームを買うときに気にしてほしいのは、人数時間値段大きさフレーバー、そしてルールの複雑さの6点です。多いと思うかもしれませんが、難しいことを言ってるわけではないので大丈夫です。それぞれ見ていきましょう。 

 

 もくじ

 

人数 

 最も気にするべきはプレイ人数です。6人で遊びたいのに、4人までしかプレイできないゲームを買う、なんて一番嫌なミスですよね。

 ボードゲームは、これは経験的な話ですが、4人プレイのものが最もメジャーで、だいたいのゲームは3~6人程度です。一番少ないのではもちろん1人から遊べます。むしろ1人専用のゲームまであります。そういうゲームをソリティアと呼ぶのですが、例えばゴリティアなどがおすすめです。

 逆に人数多めのものでは、8人程度まで遊べるものはよく見かけますが、それ以上となるとあまり聞きません。また、それ以上の人数で遊べるゲームのほとんどは正体隠匿系のゲームな印象です。正体隠匿系とは、要するに人狼のことですね。

 どんな人数でも楽しく遊べるゲームってないの? と思うかもしれませんが、まあ、ありません。どのゲームにも適正人数や、最も楽しい人数というのがあり、それを超えたり下回ったりする人数でプレイしても楽しさは半減です。

 このようにボードゲームには遊ぶための最適人数が存在するわけですが、それを確認する方法は簡単です。というのも、遊べる人数は必ずボードゲームの箱に記載されているからです!

 というわけで、買う前に絶対に人数は確認しましょう。

 

時間

  人数の次に気にしてほしいのが時間です。ボードゲームは、プレイするのにかかる時間によって軽量級、中量級、重量級などに分類されることが多いですが、明確な線引きはありません。私の感覚ではだいたい、30分以内に終われば軽いゲーム、30分~1時間で終わるなら普通、確実に1時間以上かかるようなものを重いゲーム、といった感じです。

 人数と同様にかかる時間もさまざまで、5分で終わるものもあれば、1日では終わらないようなものもあります。30分しか遊べないのに2時間かかるゲームを買ってしまったら大変ですから、これも購入前にしっかりと確認したいところ。

 そしてなんと! プレイ時間も必ずボードゲームの箱に記載されています!

 というわけで、こちらも絶対に確認しましょう。

 

値段

  これは言わずもがな。予算をオーバーしていたら買えませんからね。そしてボードゲームは、需要と供給の悲しい関係性から、往々にして値段が高いです。安くても1000円は超えますし、大きな箱のゲームは5000円~1万円といった感じです。

 値段を吊り上げている要因は、需要の少なさもさることながら、コンポーネント(中身)にもあり、ボードやコマのデザインなどが精緻なものはやはり価格が上がります。箱の大きさの割にやけに高いなと感じたなら、特殊な素材やデザインのコンポーネントが使用されていることが多いでしょう。

 そして紛らわしいことに、実店舗でボードゲームを購入する場合、陳列棚にはサイズごとに並べられることがほとんどであり、値段とサイズは必ずしも比例しないので、適当に選んだら思っていたよりも高かったなんてことになりかねません。

 

大きさ

  四つ目の要素は大きさです。当然、大きさなんて見ればわかるのですが、特に家以外の場所で遊ぶ予定の場合は、持ち運びをするという観点で考慮しなければなりませんね。車での移動ならまだしも、そうでないなら大きな箱のゲームを持ち運ぶのは容易ではありません。

 また、これは購入前に確認するのが難しいのですが、プレイするときにどのくらい場所を取るのか、というのも気になるところですね。これはゲームのシステムにもよります。例えばカルタに似たゲームであれば、札を広げるスペースが必要だったりして、小さな机ではおさまりきらないかもしれません。

 

フレーバー

 急に言われても「フレーバーって何?」ってなりますよね。フレーバーというのは食べ物の風味のことですが、ゲーム関係で使われる場合、ルールとは関係ない部分という意味合いを帯びます。

 とはいっても(多分)正式な用語ではないので、ここで軽く意味を定義したいと思います。「ゲームにおいて、その要素を捨象しても、理論上はゲームが成立する部分」をフレーバーとします。例えば将棋で言えば、王将や金将銀将などといった駒の名前はゲームにおいて必須要素ではありません。仮に駒の名前をAとかBとかにしてもゲーム自体は成立するからです。

 フレーバーは食べ物における風味であり、ゲームで言えば世界観や雰囲気に強くかかわってくる部分になります。将棋の駒の名前は、将棋のモデルである「戦」という世界観を盛り立てています。名前がAやBでは何をモチーフにしたゲームなのかさっぱり分からなくなり味気ないですよね。

 このように、フレーバーは理論上は必須ではない要素ではありますが、そのゲームのアイデンティティーを形成する大事な部分でもあります。

 さて、フレーバーはゲーム選びの上でどのように重要になってくるのかというと、同じルールのゲームでもフレーバー次第で印象ががらりと変わってしまうのです。とは言っても、(筆者の力不足により)ここでいくら説明しても実感を持ってもらうのは難しいと思うので、どうすればいいのか、結論だけ書くことにします。結論としては、デザインが気に入ったゲームを購入しましょう。逆に、ルールは面白そうなんだけどデザインがどうしても好きになれないゲームは買うべきではないでしょう。

 

ルールの複雑さ

 

 最後はルールの複雑さです。これは、対象年齢やプレイ時間に比例するといっていいでしょう。

 基本的にボードゲームの箱には、プレイ人数やプレイ時間とともに対象年齢が書いてあることが多いです。もし対象年齢が7,8歳以下までカバーしていたら、そのゲームはかなり簡単です。場合によっては、大人が遊ぶには少し退屈かもしれないので、注意してください。いい意味で簡単で、それなのに奥が深いゲームというのも存在するのですが、そういうゲームと子供向けのゲームを区別するのは実に骨が折れる作業です。とりあえず箱のデザインが子供っぽければ高確率で子供向けと言えますが、そうでない場合は、簡単なのに奥が深いゲームとパーティーゲームが混合します。

 プレイ時間に関して、短くてもルールが簡単とは限りませんが、長ければまず間違いなく複雑になります。対象年齢も12歳以上などになると複雑な可能性が非常に高いです。

 適切な「ルールの複雑さ」は、誰と遊ぶのかによって変わります。ボードゲーム初心者なら簡単めなゲームをお勧めしますが、初心者でもパズルとかが好きな人ならいきなり難しめのゲームをやった方が気に入るかもしれません。

 

 

 

 以上が、ボードゲームを選ぶときに注意してほしいポイントです。

 最近ではボードゲームカフェという、安価でいろいろなボードゲームを遊べる店が各地にあるので、購入するかどうか迷ったらそこで一度遊んでみるのもいいかもしれません。

 

(後編につづく予定)