小文化学会の生活

Soliloquies of Associate Association for Subculture

趣味は”アナログゲーム”

 こんにちは。お久しぶりです。エチゴニアです。最近はめっきりと寒くなってきましたね。体調管理には気を付けたいところです。前回の投稿からだいぶ時間があいてしまいましたが、これからも少しずつ投稿していきます。

 

 さて、今回は私の趣味である"アナログゲーム"について書きます。アナログゲームとは、電子機器を使用しない非電源系ゲームのことです。有名な例を挙げると、将棋囲碁双六などのボードゲームや、トランプ麻雀ちんちろりんなどのテーブルゲームがあります。
 しかしこの説明では”アナログゲーム”界隈の実情と大きく食い違ってしまうのです。その認識の差を記述することがこの記事の主題となります。この記事では”アナログゲーム”の認識を3つの視点をからめて説明しようと思います。

 

 

 よく考えてみてください。「趣味はアナログゲームです」という台詞には違和感を覚えませんか?
 だって普通、将棋が好きなら「趣味は将棋です」って言うでしょう?
 囲碁が好きなら「趣味は囲碁です」って言うでしょう? 
 違うんです。趣味は”アナログゲームなんです。

 

 じゃあ将棋も囲碁も双六も、全部やるのかっていうと、答えはノーです。私は将棋をたしなみますが、囲碁はできません。ちんちろりんもやったことはありません。
 それなら「趣味は将棋です」でいいじゃんと思うかもしれませんが、それも違うんです。
 私が主にプレイするのは”アナログゲーム”全般なんです。

 

 ここが最大の誤解要因なのですが、実は、アナログゲーム”は数千種類も存在するのです。しかも、最近は毎年数百の新しい”アナログゲーム”が発売されています。
 先ほどの”アナログゲーム”の説明で挙げた具体例は近代以前に誕生したゲームです。現代の”アナログゲーム”で有名なものを挙げると、カタンドミニオンカルカソンヌアグリコラなどがありますが、日本ではどれも知らない人の方が多いでしょう。

 つまり、アナログゲーム”とは決して古いゲームではなく、また、有名な特定の数種類のゲームを指すわけでもないのです。

 

 でもそれって「趣味はスポーツです」って言ってるようなもんじゃん、と思う方もいるかもしれません。確かにサッカーと野球の両方に真剣に打ち込んでいる人は少ないかもしれません。バスケもマラソンも相撲も得意、なんて言ったらちょっと変な人ですね。
 ですが現代の”アナログゲーム”とスポーツには大きな違いがあります。語弊を恐れずにいうと、現代の”アナログゲーム”は一つ一つの奥がそこまで深くないんです。もっと突っ込んで言うなら、数回遊べば飽きてしまうようなゲームも多いです。囲碁や将棋のように一生を捧げて探求するほど完成度の高いゲームは、(人によって意見は変わるでしょうが)、まあ、現代のアナログゲームにはありません。逆に、だからこそ、”アナログゲーム”全般を趣味とすることができるとも言えます。

 要するに、「趣味はアナログゲームです」というのは、年に数百種発売される現代のアナログゲームのうち数個から数十個を新しく買ってプレイしています、という意味なのです。将棋や野球に打ち込むというよりは、PCゲームの新しいソフトを買ってプレイするといった方が感覚的には近いはずです。
 値段的にも、”アナログゲーム”の主な価格帯は3000円~8000円と、ゲームソフトに似ているでしょう。

 


 さて、ここまでで趣味としての”アナログゲーム”の概要は説明終了です。異論は十分にあると思いますが、つまりは”アナログゲーム”を趣味としている人による”アナログゲーム”の認知です。以降ではそうでない人の”アナログゲーム”の認知に焦点を当てます。上の説明では”アナログゲーム”と呼称してきましたが、普段の私は癖で”アナログゲーム”をボードゲームと呼んでいるので、これ以降ではボードゲームと称することにします。ボードを使用しないカードゲームなども含める広義な解釈です。

 

 「趣味はボードゲームです」と紹介したときの日本での一般的な反応は「人生ゲームとか?」です。これはとても悲しい。別に誰が悪いとかではなく、単純にボードゲームの認知度が低いことが原因ですが、日本ではボードゲームパーティーゲーム≒子供のゲームという図式が成り立っているように感じます。
 ヨーロッパではボードゲーム=家族団欒の手段という認知が一定の市民権を得ているそうなのですが、なぜ日本ではそうならなかったのでしょうか。ドイツのボードゲームの市場規模は500億円なのに対し、日本はその10分の1程度です。
 西欧とのライフスタイルの違いは大きな要因ですが、そもそも彼らがボードゲームをしている間に日本人は何をしているのでしょうか?
 おそらく現在の日本には(別に日本に限るわけでもありませんが)ボードゲームの強力な競合が存在します。スマホゲームや携帯ゲーム、そしてTCGです。TCGはもちろんカードゲームなのでアナログゲームなのですが、そのビジネスモデルがボードゲームとは大きく異なります。ボードゲームは基本的に一回購入すればそれで完結し一セットあれば複数人で遊べるのに対し、TCGではそうはいきません。ゲームシステムとしてもTCGは各人の持つカード内容が非対称ですね。そんなTCGの国内市場規模は1000億円です。スマホゲームにいたっては1兆円に達しようとしています。スマホゲームの中にはボードゲームをそのまま移植したものもあり、そういう意味で線引きは難しいですが、何にせよ競合として無視することはできません。
 もっと大きな視点で見れば、マンガやネットサーフィンもヒマつぶしの手段として挙げられます。認知度を上げ、ボードゲームを普及させるにはこれら強大な敵に立ち向かわなければならないのでしょうか。

 正直に言えば、将来的にボードゲームが今のスマホゲームほど盛況する見込みはありません。無理です。
 しかし、まだ数年の間は日本でも市場規模は拡大する余地はあり、認知度はこれから上昇するでしょう。普及の戦略次第ではTCGの市場を奪うことも可能なはずです。また、ボードゲームは本質的にはスマホゲームに移植可能なので、消滅することはないと私は考えています。

 

 あまり細かい分析をするつもりはありません。ボードゲームの普及方針について細かい意見を書くのもさけます。私はそんな立場にありませんし、この記事の主題はあくまでもボードゲームに対する認知の差についてなのですから。

 

 ただ、一般人へのボードゲーム認知の状況はここ数年で大幅に改善されてきています。人狼がテレビで取り上げられ、都心にはボードゲームカフェが増加しています。国内最大のボードゲーム即売会であるゲームマーケットの来場者数も増加傾向にあります。
 イベントドリブンや参加型・体験型といったトレンドにボードゲームのシステムが上手くかみ合ったのでしょう。
 スマホへのスムーズな移行やイメージの改善など、あといくつかの課題をクリアできれば、ボードゲームが何らかの形で爆発的に広まることは決して不可能ではないはずなのです。私はそう信じています。

 

 最後に、私のボードゲームに対する認知を示しておこうと思います。上記の通りTCGはアナログゲームです。別に近代以前に成立したわけでもなく、れっきとした現代のものです。しかし私の中でTCGはボードゲームではありません。ただし、これは個人的な認識の問題であり、一般的な考え方とは言い切らないでおきます。要するに、上ではボードゲームを”アナログゲーム”の言い換えだと説明しましたが、正確には同値ではないということです。
 私の中でのボードゲームの定義は、あやふやな部分もあるのですが、強いて言語化するならば運と選択によって勝敗が決定されるアナログゲームのことです。ここで選択とは、ルールによって規定された幾つかの選択肢からプレイヤーが選択を行う、という操作を指します。逆に、この2つ以外の要素が勝敗の重要なファクターとなるのであれば、そのゲームはボードゲーム性が薄いということになります。
 例えば、TCGでは運と選択以外に費やした金銭の多寡が勝敗に大きく影響します。あやふやな部分というのは、反射神経やバランス能力などが関係する場合です。有名なものでは百人一首ジェンガなどがありますね。もはやただ単に好き嫌いでイチャモンを付けているだけなので、この定義にはあまり意義はないかもしれません。
 最初の方で散々書き連ねておいて矛盾するようですが、実は私はゲームの誕生時期が現代なのか近代以前なのかにあまり執着していません。近代以前のゲームでも定義に適えばボードゲームだと認識します。ただし、近代以前には運と選択が適度に織り交ざったアナログゲームが少ないように感じます。なので実質的にボードゲームは現代のゲームに限られてしまうのです。これには理由があり、それはボードゲームの成立過程から説明できると私は考えていますが、詳しくは改めて別の記事で言及しようと思います。そのうち。
 ところで、私の中では”パーティーゲーム”という区分があります。コミュニケーション手段の一つとして遊ばれるゲームです。遊ばれる状況での分類なのでボードゲームの定義とは全く別次元の考え方です。一般人への普及で取り上げた人狼などはまさにそういった側面のあるゲームですね。これらは定義的には必ずしもボードゲームに含まれるとは限りませんが、ボードゲームへの入り口に適していて、ライトユーザーを増やすことができるはずです。

 

 

 これで今回の主題は終了です。実はこの記事ではもともとはボードゲームの製作について語りたかったのですが、そのための導入としてボードゲームの説明をしていたら1つの記事になってしまったという経緯があり、大分内容が散らばってしまいました。そのうち別の記事でまたボードゲームについて取り上げようと思うので、そのときはよろしくお願いします。