小文化学会の生活

Soliloquies of Associate Association for Subculture

恋愛しない若者たち ~カカフカカでわかる連帯結婚~

どうも。つおおつです。

 

 ついにアニメを定期的に見るという習慣がなくなってしまい、(一気見が主に)その代わりに『プリンセスメゾン』、『東京タラレバ娘』、『午前3時の無法地帯』などで女性向け漫画の面白さに気付き始め、ジャンカラで「Q&Aリサイタル」を歌い、快活clubでにやにやしながら講談社の『Kiss』を読むのが趣味となりつつある大学生活折り返し地点です。

 

 閑話休題。今回は、その講談社の月刊雑誌『Kiss』に連載中の漫画『カカフカカ』の感想と考察を述べていきたいと思います。(以下、ネタバレを含みます。)

 

カカフカカ(1) (Kissコミックス)
 
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他者依存による自己の存在承認とその戦略《童貞という立場から》

 6年間の男子校生活を終え、大学に進学してしばらく経ったころ。

 人は環境の変化による価値の再構成時に自己の同一性が保てなくなるらしく、その煽りを受けたのか、あるいは頭が混乱状態にあったのか、真相は不明だがあろうことか僕は生まれてはじめて恋をした。

 結果はわかっていた。だが、自分の気持ちを素直に言葉として表現できたうえに相手へと伝わり、さらに相手がわざわざ僕に面と向かっての意思表明をしてくれたため、僕はきちんと満足できている(ただし直後にしばらく泣きつづけたが……)。

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今年はこういうのを読みました2017

 2017年も終わりですね。何かを達成したような、達成できなかったような1年でした。ただ、読んだ本は確実に糧になったといえるはずです。そんなわけで(?)会員が読んだ本をおのおの紹介して、今年の小学の活動を締めくくりたいと思います。

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趣味は”アナログゲーム”

 こんにちは。お久しぶりです。エチゴニアです。最近はめっきりと寒くなってきましたね。体調管理には気を付けたいところです。前回の投稿からだいぶ時間があいてしまいましたが、これからも少しずつ投稿していきます。

 

 さて、今回は私の趣味である"アナログゲーム"について書きます。アナログゲームとは、電子機器を使用しない非電源系ゲームのことです。有名な例を挙げると、将棋囲碁双六などのボードゲームや、トランプ麻雀ちんちろりんなどのテーブルゲームがあります。
 しかしこの説明では”アナログゲーム”界隈の実情と大きく食い違ってしまうのです。その認識の差を記述することがこの記事の主題となります。この記事では”アナログゲーム”の認識を3つの視点をからめて説明しようと思います。

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電子感想戦 第1回 田山花袋『少女病』(2)

 前回に引きつづき、電子感想戦の議事録を掲載したいと思います。人数も増えて感想戦はさらに盛りあがりを見せました。具体的なテクストの読みこみは複数人ですると1人でするのとはまた違った楽しさがありますね。

 参加者:10nies(以下、10)

     エチゴ二ア(以下、ヱ)

     モロトフ・カクテル(以下、モロ)

     つおおつ(以下、鳥)

     てねてんね(以下、て)

     航空志望(以下、航空)

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電子感想戦 第1回 田山花袋『少女病』(1)

 秋本番となってきましたね。食欲もスポーツも魅力的だけど、小文化学会としてはやはり読書の秋です。そんなわけで、シャレというわけでもないですが文化の日に初の試み、電子感想戦を行いました。事前に課題作を読み、ネット上で意見を交わす挑戦にどうなるかと心配しましたが、結果的に予想以上の盛りあがりを見せ、話は2日間にわたりました。長くなってしまったので分割し、順次アップしていきたいと思います。記念すべき第1回は、1907年発表の田山花袋少女病』。100年以上前の作品ながら、いまでも新鮮な作品。読めば読むほど新しい発見がありました。

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『「地の塩」殺人事件』と湾岸戦争の関係

Ⅰ. 概要

 このレポートでは、イスラエル人作家シュラミット・ラピッドによる『「地の塩」殺人事件』(1992)という作品における推理小説という形式と湾岸戦争の描写の関係について考察する。

 まず、『「地の塩」殺人事件』の推理小説としてのプロットについてⅡで説明する。次に、『「地の塩」殺人事件』における湾岸戦争の描写についてⅢで説明する。更に、湾岸戦争そのものについてと、当時有名になったジャン・ボードリヤールによる『湾岸戦争は起こらなかった』(1991)という本についてⅣで確認する。最後に、推理小説という形式が湾岸戦争の真実を伝えるのに効果的に作用していることをⅤで説明する。

 このレポートは、2017年度に慶應義塾大学で開講された総合教育セミナーⅡを下敷きとして作成された。

 

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人工知能は世界の論理を解明出来るか

 医学系の大学に入学してはや二か月。毎日の学習や定期考査など、学問が軌道に乗ってきた頃である。文系脳の僕にも理解できるような、素晴らしい理系の授業をなさる先生方にはとても感謝している。同時に、人間関係も多様となった。良好な関係の者もいれば、未だによくわからない者もいる。自分がその人でない以上、完全にその人の気持ちを推し量ることは出来ない。

 ついでに六年間男子校出身の僕が女性の気持ちを推測するのは至難の業である。仲の良い友人と話すことのない同期との差は、経験論的な交流の頻度の差なのであって、大事なのは人間関係に完全がないということを踏まえたうえで不断の努力をすることなのだ。不完全でもその人を知れば新たな発見があるかもしれないし、役立つことだってあるかもしれない。そんなことを考えながら、今日も僕は近くの人とのコミュニケーションを図る。

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差別とヘイトが溢れかえる世界の行き着く未来に希望はあるのか?”〜迫害されながらも共存を求め戦い続けるマイノリティヒーローたちから学ぶこと〜”

 久々の投稿となります。さて皆さんはX-MENというアメコミのヒーローチームをご存知でしょうか?アメコミの2大巨頭の一角とも言うべきMARVEL社の看板ヒーローチームの一つで同名コミックの主人公たちです。

 

 簡単に紹介させていただきますと1963年に原作スタン・リー、作画ジャック・カービーというMARVEL社の黄金コンビによりX-MENは創造されました。当初は低人気だったようですが1975年にチームを再編成してから爆発的に支持を得たこともあり2012年の時点で1冊の売上が世界一のコミック(*1)となっています。また、アニメシリーズが制作されたり2000年より20th Century Foxより実写映画化がスタートしこちらも現在に至るまでの17年間にスピンオフ作品も合わせて10作品制作されており2017年6月現在、最新作であり17年間大人気キャラクターウルヴァリンを演じてきたヒュー・ジャックマン氏とX-MENの創設者であるプロフェッサーX役のパトリック・スチュワート氏の卒業作である『LOGAN』が日本でも公開されており、翌年2019年には新たに3作品が公開されることがアナウンスされているアメコミ実写映画ブームの火付け役であり牽引役とも言うべき一大ビッグシリーズとなっています。

 

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-俺の政権がこんなに出会い系バーに厳しいわけがない-空振り安堵と坂口安吾

おはようございます。つおおつです。
最近政治が面白いですね。
 個人的には、都政も国政も本当にやんなきゃいけないことそっちのけだなあという感想しかありませんが、一つ気になったことがあったので記事を書かせていただきます。それは、前川喜平前文部科学事務次官の出会い系バー報道についてです*1

 

 公人*2と性。これは古今の東西を問わず、問題にあがってくることですね。

 

 今回はこの問題を議論するにあたって、たまたまつおおつが読んだことのある坂口安吾が1950年に書いた*3エッセイ、『安吾巷談 02 天光光女史の場合*4』を参考にしつつ議論していきたいと思います。

*1:なんのことかわからない方は、http://archive.is/ZnvAy を参照

*2:まず、既に事務次官を辞めた人が公人にあたるのかについては議論の分かれるところですが。

*3:この文章の初出は1950年2月1日の、「文藝春秋 第二十八巻第二号」です。

*4:青空文庫で読めます。 坂口安吾 安吾巷談 天光光女史の場合

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